How to "Whole Earth Catalog"

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まっくらの宇宙にほんのり浮かび上がる青白い天体。どこか見おぼえのあるアイコンだと思いめぐり、それをいつも持ち歩いている電話機の壁紙に見いだしたとき、つながったことに気づきました。

たとえば「WEB」。その起源について、社会へ網羅的に張り巡らされた見えない糸を引っ張ってみると、先っちょの方でつつと動くのが、この風変わりな一連のカタログなのです。

また、『POPEYE』をはじめ『遊』『別冊宝島』『Made in U.S.A.』など、現在に連なる70年代カタログ雑誌の創刊には、おしなべて影響を見て取ることができます。

スペクテイター創刊15周年記念『vol.29』『vol.30』の「ホール・アース・カタログ(WEC)」特集は、そんなダイナミックなつながりをびりびり感じさせてくれる、痺れるような記事内容。1968年のシリーズ発刊から、そもそもが「Access to Tools」=人と人・モノ・情報をつなぐ道具としての性格をもったWEC。そこに時代性はなく、ノスタルジーどころか項目配置だけをとっても、現代人の関心と問題意識を包括するビビッドな構成で驚きます。

オリジナルは古書での入手も難しく、現在ほとんどの号がウェブサイトで閲覧できるとはいえ、電話帳ほどのボリュームにみっちり刷られた英文は読むだけでも骨の折れる代物です。そこを今回、各界の通人による多数の寄稿や「通読」企画、カタログ発祥のサンフランシスコへの取材旅行など、編集部の並々ならぬ情熱とこだわりの反映された特集記事が、手とり足とり私たちをナビゲートしてくれます。

性質上、多分野にまたがる魅力的なブックガイドとしても愉しめるWEC。これを取り扱った本特集もまた、例を挙げればきりがないほど多くの書名や人物が登場します。全世界を股にかける知と行動への探求の手引きに、貴重な資料と解説の詰まった二分冊。読むべきいま、ぜひ手に入れておかれることをおすすめします。

 

(保田)