2014-06-01から1ヶ月間の記事一覧

坊っちゃんの時代のビール

作家・関川夏央と漫画家・谷口ジローのコンビによって、単行本としては1987年初版が刊行された『「坊っちゃん」の時代』。朝日新聞紙上で『こころ』掲載100年を記念した再連載が行われるなど、相変わらずの人気作家・夏目漱石を主人公とした漫画作品の新装版…

きっぷのよい本

気風とかいて「きっぷ」と読ませる、すでに死語となりつつあるこの言葉を導きとして選ばれた、17名の女傑(この言い回しも死語ですね)の人生を紹介する『女のきっぷ』。与謝野晶子や澤村貞子といった有名どころがあるかと思えば、ラグーザ玉、野村かつ子、林…

有次と庖丁

「兄ちゃん、◯◯て知ってる?」 はじめて入る、こぢんまりした個人営業の居酒屋へ一人、ないし飲み友だちとカウンターに腰かける。席をおいて隣りには先客のおじさんが一人、コップを傾けている。ちらりと目が合って、常連のお客さんなのだろうか。こちらは対…

おじさんの「ぼく」

世の中における「叔父さん」的存在に考えを巡らそう、という意図で書き下ろされたのが本書『おじさんの哲学』です。著者は昭和33年生まれの永江朗氏。本書を上梓する時点で55歳だという彼は、平成生まれの私にとって紛れもなく「おじさん」です。つまり、現…